アラブの雑学

中東アラブ世界の「ラクダレース」、騎手はロボット?

中東アラブ世界の「ラクダレース」とは

中東アラブの世界では、「ラクダ」はとても重要な生き物。

ラクダとアラブの人々の関係性の歴史は4000年以上昔にさかのぼる、というから、その繋がりの深さを感じます。

彼らにとってラクダは移動の手段であり、食料であり、また娯楽の一種にもなります。

そして、その娯楽としてのラクダの象徴が、砂漠のレースコースを最速時速60kmでラクダが疾走する「ラクダレース」です。

カタールの放送局「アルカス」より 

ラクダレースで走るラクダの種類はヒトコブラクダ。

ラクダレースとはアラブの伝統的な競技。起源は結婚式や地域の祭、首長の訪問といったハレの日に行われる催し物だったそうです。

レースはテレビ中継されますが、イスラム教の決まりでギャンブルは禁止されているので賭博行為は行われません。

このラクダレースの動画を見ていると、気になることがあると思います。

そう、騎手が小さいのです。

人形のような心もとない騎手が、ラクダの疾走に合わせてぐらんぐらんと揺れています。


ラクダレースの騎手はロボット?

ラクダの背中で揺れる人形、実はこれ、「ロボット」なんです。

中東のラクダレースでは、騎手としてロボットがまたがり、レースコースのすぐ隣を車で並走するオーナーや調教師がロボットを操作、鞭で叩くなどしてラクダを追い立てます。

画像 : カタールのラクダレースの中継|アルカス 

なぜラクダレースの騎手がロボットかと言うと、かつては騎手は子供にその役割を担わせていました。

理由は、子供のほうが軽量だから。

ギャンブルは禁止ですが、ラクダレース自体には優勝賞金が出ます。また名誉を得ることもできます。

そのため、騎手である子供に、より体重を軽くするために食事制限をしたり、他国の子供を誘拐してくる、といった問題が生じ、世界的な批判を浴びました。

その結果、中東のラクダレースの騎手がロボットに変わったのでした。

ロボット騎手が普及したのは最近のことだ。それまでは、体重が軽くレースに有利な子供を騎手にすることも珍しくなかった。しかし、こうした事実が明らかになり、騎手の年齢制限に法的に制定された。これがロボット騎手が増えるきっかけにもなった。

過去には、数万人もの子供が奴隷的かつ強制的に、この危険なスポーツの騎手にさせられたとみられている。パキスタンやバングラデシュ、スーダンから中東へと連れてこられてきた子供もいた。

21世紀に入ると、アラブ首長国連邦(UAE)が国際社会からの圧力を受けて、子供騎手の禁止へ動く。

出典 : ジョッキーはロボット! 中東ラクダレースの秘密